将臣:Xmasの日記


「今日は、朝から意地悪言って悪かったな。バイト入れちまった、なんて言った後のお前のふくれっ面。
あまりにも予想通りで、思わず吹き出しそうになるのを懸命に抑えたんだぜ。
でもよ、そんな事する訳ないだろ? 俺だってお前と過ごすXmas、楽しみにしてたんだぜ。
それとよ、最初からホワイトクリスマスになるのを期待するなよ。
場所によっちゃ、そんなの無理な所もあるだろ。
どうせなら、白龍にでも願っとけ。あいつなら、「神子が望むなら」とか何とか言って、叶えてくれるかもしれないぜ。
それにお前が見たいって言ってた映画だって、ちゃーんとチケット取っといたんだぜ。
でも何だか恋愛映画って、見てるとこそばゆくなってくるな。
やっぱ、俺には恋愛映画なんて見る柄じゃねえな。つくづくそう思ったぜ。
途中でお前、泣きながら見てただろ。ほら、クライマックスのシーン辺り。
ついついスクリーンより、お前の事見ちまったぜ。
どうしてこんなもんで、泣けるんだろ?って思いつつも、そういやお前は昔っから涙もろかったって事を思い出したさ。
あの時代に行って、お前は変わったと思ったけど、そういう根本的なものは、変わってなかったって気付いたら、何だか嬉しくなっちまってよ。思わずお前の顔を見ていて、顔が綻んだっけ。
そんな顔をお前に見られて、後で文句を言われたな。
その時には弁解しなかったけど、あの時笑っていたのはそういう理由からだ。
夕飯も、きちんとお前が行きたいって言ってたレストランを予約しといたしな。
お前、知ってたか? あそこ、結構高いんだぜ。
お陰でバイトの給料、ほとんどつぎ込んじまったからな。プレゼントもあんなもんですまなかった。
蔵を漁っていたら、出てきてさ。
多分ばあさんのものだったんじゃないかな。
アンティークっぽい薔薇の花の指輪。
はめてやるって言った時、お前少し戸惑っていたよな。
結局右手を出したから、そのまま薬指にはめたけど、今度俺から指輪を贈る時は、逆の指にはめさせろよな。
それから、その後に見に行ったXmasイルミネーション。
普段はそういうのに興味ない俺だけど、あれは本当に綺麗だったな。素直にそう思えたのは、お前と一緒だったからかも知れないな。
あ、そうそうイルミネーションを見ている間、ほんの少しの間だったけど、雪が降ったな。
白龍がお前の願いを叶えてくれたのかも知れないな。
よかったな、念願のホワイトクリスマスになって。
今日はとても楽しい一日を過ごす事が出来たぜ。本当にお前のお陰だ。冗談でも何でもないぜ。その証拠に、今日の日記がこんなに長くなっちまった。
珍しい、とか言われそうだな。俺もそう思うしな。
サンキュー。
そして、ハッピーメリークリスマス!」