涙の理由(わけ)

 きっかけは龍神の神子として、帝主催の宴に参加した日の事だった。
 八葉も皆参加はしているが、勿論あかねと同じ場所にいられるはずも無い。宴に呼ばれた時は、藤姫も一緒だからと、あかねも喜んでいたが、当日になって藤姫は病に倒れ参加していない。

(宴って言っても、着物は重たくて自由に動けないし、藤姫ちゃんもいないから、話し相手もいないし。かといって天真くん達の所に行く訳にもいかないしな)

 あかねは一人、寂しそうにしていた。今すぐにでも、八葉の皆の所に行きたかったが、この時代の風習を考えると、それも出来ずにいた。一応あかねの側には女房が控えていたが、藤姫の屋敷で世話になっている女房達ではなく、あかねも話し掛けられずにいた。
 すると、その女房達の話し声があかねの耳に届いた。

「ここ最近、橘の少将様の訪れがなくなったんですの」
「以前は頻繁にいらっしゃっていたのに、ねえ」
「どうやら、今は龍神の神子に気があるみたいですのよ」
「でも、少将様は単に珍しいから、だけですわよ」
「そうよね。どう見ても何の取り得もない少女ですものね」
「何れは呆れられて、棄てられるのが目に見えてますわね」

 どう聞いてもあかねの悪口である。しかも女房達はわざとあかねに聞こえるように話しているのだ。

(そんなにはっきり言わなくっても…)

 どんどんあかねの気分は落ち込んでいった。
 こんな所に長居したくない、そう思い始めた頃、
「神子、よろしいですか」
 タイミングよく永泉が帝と共に、あかねの元を訪れた。帝がやってくる前に、女房達の陰口もやんでいる。
「ぜひ、帝が神子とお話がしたいと申されまして」
 帝も八葉を共に連れてくれば、あかねも堅くならずにすむと考えたのだろう。永泉も交えて3人で少し話をしていたが、あかねの気分が落ち込んでいるのに気付いた永泉が、「神子は今までの働きで、お疲れしてるから」と上手く退出出来るようにしてくれた。
「あかねちゃん、どうかしたの?」
 あかねの退出に気づいた八葉たちが、周りに集まってくる。

「まあ、チヤホヤされて」
「いいですわね、龍神の神子様は」
「あんな普通の子にも、龍神の神子になれるのですのね」

 帝がいなくなり、また意地の悪い女房達が陰口をたたき始めた。今度は、先程より小さな声だったので、あかねの耳には届かなかったが、たまたま傍にいた天真と泰明の耳に入った。
「何だよ、あかねに何か文句があるのかよ」
 天真は声が聞こえた方をにらみつけた。天真の怒りの視線に、女房達は恐れで口を閉ざした。
「天真、放っておけ」
「じゃあ、泰明、おまえはあかねの悪口はそのまま言わせておけって、言うのか」
「問題ない。悪しき言葉は何れは自分に返るもの。ましてや、あの程度の言では、神子には大した呪にもならぬ」
「へえ、そういうもんか。俺にはさっぱり理解できないけどな」

 あかねは、八葉達と共に宴から退出した。あかねの事を気づかった詩紋が、屋敷に戻るまで側にいてくれた。 だがその詩紋の優しさも、今のあかねにとっては余計に気落ちするだけだった。
「神子様、お早いお帰りで、どうかなされましたか」
「ちょっと、疲れちゃって。慣れない着物も着てたし」
「それにしては、神子様の顔色が大変悪うございますが…」
「今までの疲れがどっと出てるだけだから。藤姫も病気なんだから、もう休んで」
 思っていた以上に早いあかねの帰りに、藤姫は病気であるのにも関わらず、すぐにあかねの元へやってきた。心配する藤姫にいくら聞かれても、あかねには理由を答える事は出来なかった。


 翌日も結局は外出する気もおきず、前日の事を気にした藤姫からも、今日1日は屋敷でゆっくりした方がいいだろうと言う事で、あかねは一人部屋の中で休んでいる事になった。
 一人でいると、やはり昨日の女房達の話が思い起こされる。確かに、友雅は八葉という役目が面白いからと、あかねに力を貸してくれている。そんな友雅と共に出かける事も多くなり、あかねはいつしか友雅に心惹かれるようになった。だが、いくらあかねが友雅の事を想っていても、自分は何の魅力もない只普通の女の子。しかも京の世界に馴染みの無い為、勝手もわからない。一方相手の友雅は、宮中の女房達が必ずと言っていい程、恋の噂が絶えない。まあ、以前よりも減ってはいるようだが。友雅が一緒にいてくれるのは、龍神の神子が珍しい、只それだけの事だろう。
 あかねは自分でもわかっていた。こんな何もない女の子に、友雅が好きになってくれるとは思ってもいない。だが、自分の気持ちに嘘も吐けない。友雅に伝えなければ、この想い自分の胸の中に閉まっておくのもいいだろう、そう考えていた。
 そんな中、ふと誰かの訪問に気が付いた。微かな衣擦れの音と、仄かに香る侍従の香。それだけで、あかねには訪問者が誰なのかが解った。
「京を守る姫君は、何をお考えなのかな。それとも、昨日の宴で疲れてしまったのかな」
 友雅の言葉に、あかねは少しの間の後、
「初めての宴で、緊張しちゃって」
と答えた。だが、あかねの言葉に友雅は信じていない様子だった。
「本心を語ってよいのだよ、神子殿。誰か、想い人の事でも考えていたのかな」
「えっ……」
 確信を付かれたあかねは思わず赤面したが、すぐに平静さを取り戻して軽く否定する。だが、友雅があかねのほんの少しの変化に気付かないわけはなかった。
「図星、かな。神子殿」
 あかねは友雅に軽くあしらわれた事に少し怒りを見せたが、心中穏やかではない。自分が友雅の恋愛の対象になっていないという事は、充分承知している。だからこそ、気が滅入ってくる。
「その想い人が、私だと嬉しいんだがね、神子殿」
 的を得た友雅の言葉に、再び赤面するあかね。今度はどうしても顔の熱りがなかなか引かない。
「おや、これは嬉しいねえ。神子殿にはまだ恋愛には縁がないと思っていたのだがね」
「ち、違います」
 友雅はあかねの表情を見て、喜びを見せた。
(まだまだ、私は友雅さんの範疇には入ってないんだろうなあ)
 あかねには友雅の言葉に、少し落ち込んだ。だが、それは自分の勘違いである事にあかねは気付いていない。だからこそ、その言葉を聞いて、思いっきり否定してしまった。だが、友雅にはそんなあかねの対応が嬉しくてたまらない。
「そんなに照れなくてもいいのだよ、神子殿」
「だから、違うって言ってるでしょ」
「本当に、神子殿は見ていて飽きないねえ。憂いの表情を見せたかと思うと、すぐに表情が変わる」
 あまりのあかねの態度の可愛さに、友雅は笑い出す。その友雅の言葉と対応に、思わずあかねの瞳からは涙がこぼれていた。そのあかねの涙を見て、友雅はこれは言い過ぎたかなと、後悔した。
「……」
 あかねは何か言葉を発したが、多少怒りの気持ちも入っていた為か、よく聞き取れなかった。
「何か言ったかい、神子殿」
「もう、友雅さんなんて嫌い。大っ嫌い!私、帰る!!」
 そう言い残してあかねは部屋を飛び出してしまった。
「神子様、如何なされましたか」
 異変に気付いてすぐに藤姫が来たが、部屋にあかねがいない事を知ると、すぐに手の空いている八葉にあかねを探させた。


 あかねは何も考えずに飛び出してしまい、気が付くと一条戻り橋まで来ていた。橋の傍らで我に返り、友雅とのやり取りを思い出した。
「どうしよう、友雅さんに『大嫌い』なんて、言っちゃった」
 確かに友雅の考えは的を得ていた。気付いて欲しくない時に、本来欲しかった言葉が出てきたのだ。まさかという戸惑いのうちに、思わず言葉が出ていた。友雅に思いも寄らぬ事を言ってしまったという後悔と、友雅に嫌われてしまうという思いで、またあかねの瞳からは涙が出てくる。
 ちょうどそこへ、あかねを探しに来た頼久が姿を現した。
「神子殿、探しました。一人で外出されては危険です」
「私…、私、友雅さんに……」
 泣きじゃくるあかねに優しく声を掛ける頼久。だが、あかねは上手く言葉に出来ない。あかねの口から頻繁に出る『友雅』の言葉に、頼久は元凶がどうやら友雅だと理解した。
「友雅殿が、神子殿に何かされたのですか!?」
 問いには答えず、泣きじゃくるあかね。
 頼久の言葉はあかねに届いてはいるのだが、今はそれどころではない。激しい後悔が、あかねに只、泣くという行いしかさせてくれない。
「いくら友雅殿と言えど、神子殿に対して無礼を働くなど、この頼久が許してはおけません」
 どうやら自分が泣きながら発した『友雅』の言葉に、勘違いをしたらしい頼久の言葉を聞いて、あかねは慌てて頼久を止めた。
「神子殿。安心して下さい。この頼久がついております」
「あ、あの、頼久さん?何か勘違い…」
 頼久はあかねの制止の声に耳を貸さずに友雅の所に向かった。


 とんでもない形相で、友雅の所にやってきた頼久。只でさえ、怒っているように見える頼久の顔だが、今 はいつも以上に殺気立っていた。
「おや、どうしたんだね、頼久。そんなに怖い顔して」
 何事か解らない友雅は、のんびりした口調で頼久に声を掛けた。頼久の方は、と云うと、毎度の如く眉間に皺を寄せている。いや、いつもより縦の皺が多い気さえする。
「神子殿に何をされたのですか?」
 頼久は声に怒りを込めて言った。
「何のことだい?」
 友雅は蝙蝠を軽く開いて口元を隠しながら頼久の問いを受け流した。口元は見えないが、意味ありげに笑っているのだろうと、頼久にはわかった。だからなのか、頼久には余計に苛立ちが増した。
「とぼけないで下さい。神子殿は泣きながら友雅殿のお名前を仰っておりました。原因は友雅殿にあるのではないですか」
「だとしたら、どうする?」
 相変わらず友雅は、はぐらかしたままである。
「それなら、こちらにも考えがあります」
 そう言うと頼久は、腰に下げている刀の柄に手を添えた。いかにもこれから抜刀するのだという姿勢である。友雅は開いていた蝙蝠をパチンと閉じ、顔からは多少笑みが残されている程度になった。
「物騒だね、頼久。君は、刀を所持してない者に対して、抜刀出来るのかい?」
「神子殿の為ならば」
 頼久はスラリと刀を抜いた。刀は何の曇りもなく、今の頼久の心を映しているといってもいいだろう。刃先を友雅に向けると、頼久はそのままの体勢のまま動かなかった。
 ちょうどそこへ、遅れていたあかねが到着した。
「きゃあ、頼久さん、何をしてるんですか!?」
「神子殿に対しての無礼を問い質している所でございます。なかなか友雅殿が、非をお認めに成らぬ故、このような手段を取ったまでです」
 頼久は変わらず、友雅の方を向いたまま答えた。
「頼久さん、刀を納めて下さい」
「いくら神子殿のお頼みでも、このまま非を許しておく訳には参りません」
 頼久はあかねがどう言おうと、刀を納めようとはしなかった。
「何の騒ぎですか?」
 一連の騒ぎで、藤姫と残りの八葉がやってきた。友雅に刀を向けている頼久の事を見て、皆頼久を止めようとした。
「頼久、何をしているのです。同じ八葉同士、争いなどと」
「ですが、許せる事と許せない事がございます」
 頼久は藤姫の静止の声も聞かなかった。
「天真先輩、頼久さんを止めなきゃ」
「駄目だ、詩紋。あの状況、俺には止められない。ちきしょう、俺に止められるだけの力があれば!」
「天真殿、諦めてはなりません。必ず止める方法はある筈です」
 あまりの頼久の気迫に、天真ですら止める手段がなかった。いや、止めようとすれば方法はあるのだろうが、穏便な方法が今は見つからなかった。
「泰明殿、何か方法はないのでしょうか。同じ八葉同士が争うなど、龍神様のお考えに反するのではないでしょうか」
「問題ない」
「泰明殿。それはあんまりではないでしょうか」
「だから、問題ないと言っている。第三者である我々に、穏便に止められる方法などない。あるとしたら、それは当事者同士で解決すればよい」
 『当事者』。泰明の言葉があかねの耳に届いた。この状況を止められるのは、自分しかいない。そう考えたあかねは、友雅をかばうように頼久の刀の前に出た。
 頼久や友雅だけでなく、あかね以外のその場にいた全員が、凍りついた。
「み、神子殿。危のうございます」
「そうだよ、神子殿。君がわざわざ危ない目に遭う必要はない」
「頼久さん、誤解なんです。友雅さんは何も悪くないんです」
「神子殿、友雅殿を庇っておられるのですか」
「庇うも何も…、悪いのは私なんです」
 あかねの瞳からは、止め処もなく涙があふれてくる。
「頼久、そこまでです。神子様に何かあっては大変です。刀を納めなさい」
 藤姫に言われて、頼久は刀を納めた。頼久が刀を納めると同時に、あかねはその場にしゃがみ込んだ。
「神子様。今度こそ、この藤に何があったかを仰って下さいませ。私は神子様のお力になりたいのです」
「ごめんね、藤姫。これだけは…」
 理由など言える筈がなかった。止め様もない友雅へのこの想い。恋愛に臆病に成っている事。心にもない事を言ってしまったという後悔。いろんな想いであかねの頭は一杯だった。
 泣いている所為もあってか、自分の頭の中を整理する事が出来ず、でも必死に整理しようとして、最終的にあかねの頭の中は、ぐちゃぐちゃだった。
 皆の前で、ずっと泣きっぱなしだったあかねを、居た堪れない思いで天真がそっと、部屋に連れて行ってくれた。あかねは何も考える事が出来ず、ただ天真に着いていくだけだった。

「神子様が落ち着くまで、一人にして差し上げましょう」
 藤姫の提案で、この場は何とか収まった。いや、肝心の当事者があの状態では、皆にはどうする事も出来なかった。天真が戻ってくるのを見計らって、八葉たちはそれぞれの仕事、役割に戻っていった。


 夕暮れが近くなり、庭に夕焼けの赤で満たされる頃、友雅があかねの様子を伺いに屋敷にやってきた。
「神子殿の様子はどうだい、藤姫」
「いまだ部屋に閉じこもったままですわ。私も神子様のお部屋には入らないようにしてますので、詳しくはわからないのですけれど」
「では私が、ご機嫌を伺ってくるとしようか」
 友雅はあかねの部屋に向かおうとした。
「友雅殿。今日はやめた方が宜しいかと…」
「忘れたのかい、藤姫。私もある意味当事者なのだよ」
「ですが…」
「確か明日は神子殿の物忌みの日なのだろう。明日誰も神子殿の傍につく事が出来ない方が、危険だと思うのだがね」
「それも、そうですわね。では友雅殿。神子様の事くれぐれもよろしくお願いいたします」
 こうして、友雅はあかねの部屋の中へ入っていった。部屋の中は日暮れが近いにも関わらず、灯りもつけず薄暗いままだった。中に入ればあかねの様子は一目瞭然だった。時間が経ったというのに、あかねは未だに声を押し殺して泣いているのだった。こんな状態にも関わらず、声を出さずに泣いているのは、藤姫に余計な心配をかけまいとしているのだろう。実際は声を出そうが出さなかろうが、藤姫の心配は変わらないものではあったのだが。
 あかねは友雅が入ってきたのにも気づかず、背を向けたまま泣いていた。
「神子殿、もう泣くのはやめてはくれないか。女性に泣かれるのを見るのは、耐えられない」
 その友雅の言葉でもあかねは泣き止まなかった。と言うよりは友雅の言葉が耳に入っていないようだった。後姿だけでも泣いているのがわかる位に、肩が小刻みに震えている。
 友雅が更に近づき、あかねの肩にそっと触れると、あかねは思わず肩をびくつかせ恐る恐る振り返った。そして何か言いたげな顔をしていた。だが、今までずっと泣き続けていたので、うまく声として出す事が出来ない。
「…っく、……ご……さい…」
「神子殿、焦らなくてもいい。落ち着くまで待ってあげるから」
 友雅もあかねが何かを言いたいという事に気づき、落ち着いてから話すように言ったが、あかねはどうしても早く自分の気持ちを伝えたいのか、どうにかして言葉を出そうとしている。
 友雅もようやくあかねが、自分に対して謝罪の言葉を発している事に気づいた。
「き……いじゃ、……いに…」
 だが、あかねの口から紡がれる言葉の中に、「嫌い」という単語が入っているのに気がつくと、流石の友雅も、がっくりと肩を落とした。
「とことん、嫌われてしまったようだね。私を置いて月へと帰ってしまうんだね、この姫君は」
 そう悲しそうにつぶやくと、あかねの髪をそっと掬って軽くキスをすると、友雅は立ち上がった。
 それに気づいてあかねは思わず友雅の着物の裾を掴んだ。そして思い切り顔を横に振った。いかにも「違う」とでも言いたげだった。
 あかねはちゃんと自分の思いを伝えようと、軽く深呼吸をした。
 深呼吸した事によって、ある程度落ち着いたあかねは、ゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
「嫌いじゃ、ないから…、友雅さんの事、嫌いじゃないから…、だから…」
「だから?」
「………、私の事、嫌いにならないで」
 そこまで伝えると、またあかねは泣き出した。
 何時からだろう。あかねは気がつくと友雅の視線を避けるようにし始めたのは。友雅はそれがとても悲しかった。いつも自分を真っ直ぐに見つめる強い瞳。今まで自分の周りには居なかったタイプの女性。確かに最初のきっかけはそんな理由からだったかも知れない。だが、いつのまにかあかね自身気がついていない彼女本来の魅力に引き込まれ、忘れかけていた情熱を引き出されていた。だからこそ、視線を逸らされるのが悲しかった。特に今日は、頼久の後から戻ってきたあかねは、一度も友雅の顔を見る事はなかった。何れは元の世界に帰っていく少女。だからこそ、本気になるまいと思っていた。本気になってしまえば、あかねが帰った後の自分を想像できるからだ。だからこそやがて来る別れの時に、あかねを帰したくなくなってしまう。
 昼間あかねに「帰る」と言われた時に感じた心の喪失感。もう引き返せない所まできているのかもしれない。なら心が望むままに、生きてみるのもいいのではないか。
 友雅は自分の気持ちを伝えようと、あかねの前に座った。
「安心なさい。神子殿の事を嫌いに成れる訳がない」
「よかった…」
 その友雅の言葉に安心したのか、あかねはその場に崩れるように友雅の方に寄りかかってきた。焦って抱き寄せると、涙で濡らしたまま眠ってしまっていた。
「今日はとことん神子殿を泣かせてしまったからね。でも、神子殿。私の本当の気持ちはまだ伝えてないからね」
 友雅は軽くあかねの瞼にキスをした。
 あかねが目覚めたら、自分の気持ちを伝えよう。伝えた後のあかねの顔を思い浮かべると、自然と笑みがこぼれる友雅だった。
《終》

ようやく完成の友雅vあかねの小説です。
なんか書いてて
あかねちゃん、こんなにお子様じゃないだろう
なんて思いつつも折角なのでそのまま。
恋愛に不器用なあかねちゃんという事で。
友雅さんも、らしく書けたか不安です(-_-;)