金色のコルダ
── Midsummer Festival ──
1日目昼
配役(敬称略)
月森蓮:谷山紀章
土浦梁太郎:伊藤健太郎
柚木梓馬:岸尾大輔
ファータ:堀内賢雄
土浦の友人:中原 茂
柚木「やあ、月森君。君も来てたんだね、夜の部」
月森「ええ、音楽を題材としたお祭りなので、折角だから」
柚木「公園をお祭り用にディスプレイして、あちこちでいろんな人が聴いたり弾いたりして、誰でも音楽を楽しめるお祭りというのも、面白いよね」
月森「そうですね。学内コンクールに趣旨が似ているかもしれない」
イトケン登場。紀章の隣につく。
土浦「うわっ」
月森「人の顔を見て、そのセリフは失礼だな」
土浦「すみませんね。きっつい組み合わせだったんで」
柚木「ねえ、土浦君。きっつい組み合わせって、どういう意味?」
土浦「流して下さい」
柚木「そう、わかった。じゃ、今回も、流してもいいよ」
土浦「何でここまで来て、コンクール参加者のヤローばっかの顔を突き合せなきゃならないんだ」
月森「それはこちらのセリフだ。どーせなら…」
柚木「どうせなら?誰か会いたい相手がいるみたいだね」
月森「何でもありません」
土浦「それより、コンクールがどうとか言ってませんでしたか?」
柚木「ああ、誰でも音楽に親しめるお祭りという趣旨が、学内コンクールに似てるよねって話」
月森「実はこのフェスティバルも、ファータが開催している訳じゃないだろうな」
土浦「まさか。ファータの連中も来てないぜ」
賢雄さん登場。
土浦「こんな所に、ね、体長、30センチの、羽付き妖精がいたら、俺は卒倒する(いちいち強調しながら)」
ファータ「これこれ…」(すみません、あまりにも大笑いしすぎてこの時の賢雄さんのセリフすっ飛びました。賢雄さんにしたら、すごい高い声でファータをやられたので)
月森「あ、卒倒するなら、迷惑掛からない所でしてくれ」
土浦「うるせーな、こんなファータ居なかっただろうが」
柚木「心の底から見た事ないファータだね」
ファータ「何?何だい、君達は?私に興味でもあるのか」
土浦「なんだか、なんか」
柚木「ただ、外見からはー、年齢は分からないからねえ」
月森「用と言う、訳でもないーがー、君がナニなもんだから、目についただけだ」
ファータ「さよか。ところで、君ら、君達は私が見えているのかね」
土浦「あ、ああ」
ファータ「なるほど。君達も星奏学院のコンクール参加者なのだな?」
月森「あ、ああ」
ファータ「リリが主催しているコンクールの」
柚木「ああ、そうだよ。君は心の底から、他所のファータだね」
ファータ「おい、除け者はやめたまえ。あのね、全くその通り、余所者ではありません。私は今日ね、このMidsummer Festivalを視察に来たのだ」
月森「視察?冷やかしではないのか?」
賢雄さん「だから、この役は断ろうと思ったんだよ」
ファータ「(少し口調を変えて)この街の人達は、音楽に親しむ為に、このMidsummer Festivalを開催したと聞く。これもリリの活動の成果という事です。この成果をファータの世界に持って帰り、報告するのが、今回の視察の目的なのだ」
土浦「そういや、ファータの使命は『音楽で幸せを世界に広めよう』だったな」
月森「確かに、このフェスティバルは、音楽が広まった結果と言えよう」
柚木「へえ、えらいんだね」
ファータ「勿論である。だから、フェスティバルを楽しんでいいのである」
月森「結局は、冷やかしか」
ファータ「そうとも言うな」
土浦「認めやがったぞ」
柚木「心の底から認めたね」
ファータ「だがね、私もただの冷やかしじゃないよ。分かってる、視察である。だって贈り物も用意してある」
柚木「律儀じゃないか」
土浦「そう行くか。何かオチがありますよ
ファータ「さっき君達のお友達に、用意をお願いしといた」
柚木「僕達の友達に?どういうことだ?」
月森「ファータが見える人という事は、コンクール参加者か」
ファータ「女の子。バイオリンケースを持っていたな」
土浦「バイオリンケース?って事は……。じゃあ、仕方ないな」
月森「彼女がやるなら、手伝わにゃい訳には…。彼女が、やるなら、手伝わない訳には、いかないな」
柚木「彼女なら引き受けてもおかしくない。僕もお手伝いする事にしよう」
土浦「で、何をすればいいんだ?」
ファータ「ファータからこのフェスティバルに、何か花を添えたいと思ってるのでな。何か楽しんで貰えるような物を考えてくれと、お願いしてある」
柚木「またひどく抽象的な指定だね」
ファータ「私は視察で忙しいのでね。後は〜頼んだよ」
賢雄さん、退場。
土浦「こら待て」
賢雄さん、待ってみる。そして、また退場。
柚木「やっぱり、冷やかしだったね」
月森「しかし、冷やかしにしても、何か楽しんでもらえる事を考えろと言われても」
中原さん登場。
中原「おーい、つっちうらー!」
土浦「あれ?何やってんの?中原」
柚木「ファータと被ってない?」
中原「なんだ、被っちゃったんだ。戻すね。ういっす」
柚木「お友達かい?」
中原「土浦とは同じクラスなんすよ」
土浦「お前、クラシックに興味あったっけ?」
中原「ない。でもよー、お前、お祭りっつったら、別さ。お祭りに参加する事に意義があるんだよ、な」
土浦「そういうもんか」
中原「そういうものだよー。あんた達は、そう言うわけじゃないの?」
月森「全てのお祭りに参加する事に意義がある、とは思わないな」
中原「それは人生のふくよみ(?)方程式の8割方を損してるよ」
月森「それは損しているうちには入らないな」
柚木「じゃあ、君はお祭りには詳しいの?」
中原「もちのろんよー。お祭りの陰に俺さまありよ」
土浦「あり、なのか?」
柚木「それは楽しみだね。君を煮込んで、いや、君を見込んで、是非聞きたい事があるんだ」
中原「いいっすよー。フルートの奇術師の頼みっすからねー」
月森「フルートの、奇術師?」
土浦「鳩でも出すのか?」
中原「あー、違った。やっべ、本当の事、言っちったよ。フルートの貴公子だった。こんな間違いしたら大変大変。柚木様親衛隊に、怒られるぜ。
『私達の柚木様を(高い声で)、侮辱したわねー(低い声で)』」
月森&土浦(笑)その後、溜息。
柚木「参考までに、月森君と土浦君のあだ名も教えて貰えないかな」
中原「いやー、それがね、残念っすけど、二人にあだ名は、ないんっすよねー。あ、なんで、パンパカパーン。俺が今命名させて戴きまーす」
土浦「おいおい、無理に命名しなくていいよ」
中原「あのね、月森君はねー、無難に、かき氷バイオリニスト」
月森「うわー」
中原「えー、つっちーは、えー、火の玉ピアニスト、でどうかしら?」
月森「そうだね」
柚木「妥当な所かな」
月森「かき氷…」
土浦「火の玉…」
柚木「じゃあ、あだ名が決まった所で、お祭りに詳しい君に教えて欲しい事があるんだ」
土浦「そうだ、本題を忘れる所だった」
月森「君がお祭りで、人と一緒に楽しむと言ったら、どんな事がある?」
中原「(暗い声で)それ、好きな人の事?」
土浦「好きな人?」
月森「そこまで限定している訳でも…」
柚木「でも面白そうなお題だね」
中原「でしょー。うーん、じゃあ、好きな女の子と一緒にお祭りで楽しく過ごすなら…」
土浦「何か、本題からずれてるけど」
中原「やっぱ、お祭りと言ったら、浴衣っしょ。シチュエーション大事にしてさー。『ぼかー、君と一緒に歩けて、嬉しいなー。』なーんてね」
柚木「そうだね。お祭りなら、お祭りらしさを楽しみたいもの、ですね」
土浦「そうかー?悪くないですけど、なんか、こう、気恥ずかしいっていうかー」
月森「同感だ」
柚木「わざわざ浴衣を着てくれるんだよ。その気持ちが嬉しいじゃない」
中原「でも、まあ、シチュエーションも大事だし、分かりやすいけど、それだけじゃ無難すぎるかなー。こう特別な時間にしたいわけでしょ。誰とでも一緒じゃ、駄目ですね」
柚木「う…ん」
中原「あと、屋台。食いもんがいろいろ出てたら、奢ってあげたくなるじゃん」
土浦「ああ、分かる分かる。屋台は祭りの醍醐味だよな。ああいう所でしか、食べられない味っていうかさー」
月森「よく分からないな。大体、量を食べるものでもないだろう」
柚木「そうだね。ちょっと位ならいいけど」
土浦「分かってないなー。お祭りの屋台は別もんなんだよ。俺はああいうのって結構好きだぜ。同じ物でも屋台によって味が違ったりするし。つい、自分の好きなもの進めたくなるんだよな」
中原「へへ、気をつけろよー、土浦ー。度が過ぎるとひくからなー。『俺が好きな物なんだから、お前も好きだよなー』なんて押し付けがましいのも」
土浦、咳払い。
月森「お祭りを一緒に楽しむのは意外になかなか難しいものなんだな」
中原「あ、あと、金魚掬いとか射的とかで遊ぶのもいいよなー。あ、月森君は、結構得意なんじゃないかな。集中力ありそうだし」
月森「どうだろう。試してみないとわからないな。一緒に楽しむなら、そういう楽しみ方なら、やってみたいな」
柚木「確かに月森君なら、好きの子…(つまる)」
月森「先輩。僕は大丈夫です」
柚木「確かに、月森君なら好きな子の前でうまい事見せそうだね」
土浦「それ、すごいですねー。技術指導でもしそうなタイプ。『君の力は……』(月森の真似をする)」
月森「8割の出来だった」
柚木「似てるよ」
月森「そうなのか」
中原「あー?うーん」
月森「どうした」
中原「うーん、まああんまりこううますぎると、嫌味になるかな。『上手すぎちゃって困るのー』って逆に相手の声が出てきたりしちゃってねー」
月森「ああ、なるほど」
柚木「では、結局何がいいんだい?」
中原「何でもいいんじゃないっすか」
土浦「無責任な事をいいやがる」
中原「だって俺には、責任なんてねえもん。質問してきた方が責任持てよ。あっ、それじゃ、俺は行くぜー。祭りを楽しまなきゃ。女の子ナンパしなきゃー」
月森「念のために言っておくが、このフェスティバルは君が例にあげたような夏祭りではなく、音楽のお祭りだぞ」
中原「お祭りは、お祭りでい。じゃ、まあ、あばよー」
中原さん、退場。
土浦「あれ、同級生か?」
月森「タイムスリップでもしてきたのかな」
黒柚木(?)「残念だけど、全然参考にならなかったね」
土浦「今、早速切り捨てなかったか?」
月森「ああ」
柚木「やだなあ、二人とも。どうしたの?幻覚見たような顔して」
土浦「幻覚…?」
月森「そう言う事にしておこう。それで、今の話だけど」
土浦「ああ、上手すぎて嫌味になるから、技術指導とかは禁物ってやつだろ。気をつけろよ。月森」
月森「君も、度が過ぎてひかれないように注意した方がいい。好きな物を押し付けられる方が迷惑だな、土浦」
柚木「まあまあ、二人とも。そう嫌がる事はやめよう。さっきのは、あくまで例えで、誰がどういう訳でもないんだから」
月森「わかりやすいのも、無難すぎるとも彼は言ってましたよね。柚木先輩」
土浦「誰とでも一緒じゃ、駄目ってね。夏祭りに誘う時は、気をつけた方がよさそうですよ」
黒柚木「くっくっく、アッハッハ。そうだね。気をつけるよ。彼女を誘う時には、分かりやすいシチュエーションに特別感を盛り込む事にするよ」
土浦「面白い。受けて立ちますよ。コンクールのライバルってだけでは足りないようですね、俺たちは」
月森「俺も黙って見過ごす訳にはいかないな」
黒柚木「別に、無理しなっくても、いいんだよ。僕は争うつもりはないからね。譲つもりも無いけど」
ヴァイオリンの音楽が流れてくる。
月森「このヴァイオリン。3階席あたりかな」
土浦「いい音だな。夏の空に響く音色だ」
賢雄さん、登場。
ファータ「どういう事なのかね」
柚木「あれ、どうしたんです?賢雄…、ああああ、ファータくん?」
ファータ「何故あの女の子は、私の頼みを放り出してしまったのかね」
月森「どういう事?」
ファータ「お祭りに来てた子供に頼まれたら、ヴァイオリンを弾き始めてしまったのだよ」
土浦「それの何が酷いんだ?」
ファータ「私の頼みはどうなったのかね。呑気にバイオリンを弾いてる場合ではないのだよ」
柚木、月森、土浦笑う
ファータ「もうちょっと、笑ってもいい」
柚木、月森、土浦、大笑い
ファータ「そんなとこかね。何だね。何がそんなに可笑しいのかね
土浦「お前は気づいてないのか?もうあいつは見つけてるじゃないか」
ファータ「何の事?」
月森「この音楽の祭りで、聴いている人の為に演奏する事、誰かの為に演奏する事」
黒柚木「それにこの…、ああ、間違えた」
柚木「それにこの楽しそうな音色。彼女自身も楽しんでるのが、伝わってくると思わないかい」
ファータ「ああ!?」
土浦「一緒に音楽を楽しむ事、これ以上にファータが用意するのに相応しいものはあるか?」
ファータ「そうか…、そうだったか」
土浦「音楽の妖精のくせに、大切な事を忘れてやがる」
月森「もっとも俺達も人の事が言えたものではないが。自分だけでなくて、相手も一緒に楽しまなくては」
土浦「自分の好きなものを押し付けるだけじゃなく、相手の好きなものも聞いて」
柚木「そして何時も伝えたい。大切なのは、特別なのは、いつも一人だけだよ」
ファータ「特別な一人…」
柚木「今日は彼女が用意した贈り物に花を添えるだけにしておくよ。君達ファータの代わりにね」
土浦「そうしますか。今日ばかりは。折角のお祭りなんだ」
月森「彼女が楽しく過ごす為に、何時も彼女の為に、何か出来たらいい」
ファータ「素晴らしい。これこそがミーのお陰、か?」
柚木「少し違うかもしれないけど、音楽のお陰、かな」
土浦「明日からは、協力体制はないからな」
月森「明日の事は明日考える事にする」
柚木「じゃあ、行こう。賢雄さんも来ます?」
ファータ「合点承知の助!」
終
戻る
夜は、どれだけ、黒を出せばいいのか、とか、賢雄さんのファータが面白かったり(笑)。やっぱり、フェスタは昼夜共に参加して、どれだけ遊んでるのか比較するのが楽しいですねえ。
今回は、ラストの小競り合いは、月森vs土浦でしたねえ。昼は柚木vs土浦だったけど。